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会長のひとりごと

「カレーライス」

 「カレーライスが作れますか。カレーライスは、日本人の大好物です。もちろん、自分で作った経験がありますよね?」と男性に尋ねると、ほとんどの人は「ありません」と答えます。カレーライス作りには、仕事に役立つ大きなヒントが隠されています。
 それは、段取りに始まり、刻(きざ)む・炒(いた)める・煮詰めるなど完成までの過程で多くの工夫がいるからです。カレーライス作りを体験することにより、物事に対する工夫・知恵が沸(わ)いてきます。そして、何より、今までおいしいカレーライスを食べさせてくれた母親・妻に感謝する心が生まれてきます。
 カレーライスと同様に、他の料理でも仕事に役立つ大きなヒントを得ることができます。俗(ぞく)に言う「体験に勝る学問なし」です。現代の若者は、口は達者ですが、手足の使えない人が多いといいます。入社試験にカレーライス作りを実施して、その実践力を試すのも一案ではないでしょうか。
 私は小学校の頃から台所で炊事(すいじ)をしてきましたので、それが、あらゆる場面で役立ってきました。元京都女子大の小泉和子教授も「子供が炊事の手伝いをすることで、食物や動物についての知識が増え、観察が深くなり、注意深く、賢くなり、手先が器用になり、頭が柔らかくなり、美的センスが育つ」と述べておられます。料理の中にはいろいろなヒントがあるわけです。子供だけではなく、成人男性もカレーライス作りに、ぜひ挑戦しましょう。

 弊社では、社員の皆さんに「知恵を出してください」とお願いしています。知恵を出すのは、圧倒的に女子社員が多いです。創業期の頃は、男性社員からはほとんど出ませんでした。それは家事をやっていないことも一因です。女性は、掃除・洗濯・炊事などの忙しい合間に知恵を出しているのです。私は「多忙は知恵を生む」と確信しました。今では、男性社員からの改善提案も多くなり、社内が活性化しています。
 全国の会社から工場見学に来られて、数々の改善事例を見て感心をされる方が多いのですが、自社に戻り、足を一歩踏み出すといった行動力がないので進化が見られません。まずは、目の前の小さな不都合の改善に挑戦することです。 
 それもできないようなら、NHKテレビ「チコちゃんに叱られる」の「ボーっと生きてんじゃねーよ!」を社是(しゃぜ)にされたらどうでしょうか(笑)。


(フレッシュタニサケ2019年6月号より抜粋)

「バングラデシュからの見学」

 1月31日に(財)海外産業人材育成協会の紹介で、バングラデシュの各企業から23名の社長および幹部の方々がタニサケへ見学に来てくださいました。参加者の中には、社員数5万人の会社の幹部の方もおられました。バングラデシュの国民の平均年齢は23歳と大変に若く、将来への可能性を秘めた国と聞いていたので、わくわくした気持ちで受け入れました。工場見学での説明および私の講話は、同行の通訳の方が英語で皆様に伝えてくださいました。

 工場見学の前に私が少しお笑いを入れたことにより、参加者が大笑いをされ、さらに弊社が用意した、日本一おいしい「ツマガリさんのお菓子」を食べられた喜びと重なり、場の雰囲気が一気に上がりました。

 バングラデシュの皆様に、よい会社づくりは「上に立つ者がお手本を見せること」、「会社を美しくすること」が肝要であると伝えました。具体的には弊社の清水社長が早朝に「トイレ掃除」を、私は会社周辺の「ゴミ拾い」を実践していると語りました。すると、聞いていた皆様が清水社長と私に大きな拍手をしてくださいました。

 工場見学の後、弊社に学ぼうとする積極的な姿勢の皆様から数多くの質問があり、大いに盛り上がりました。今まで海外から多くの見学者がありましたが、一番気持ちのよい皆様でした。バングラデシュの皆様の輝く瞳を見て、燃えたぎる、強い活力を感じました。そして、バングラデシュは大成長すると確信をしました。また、当日の記念写真を帰り際にお渡ししたら、あまりの即行に驚き、そして大満足をされていました。5年後が楽しみなバングラデシュの皆様でした。

見学された方からのお便り(バングラデシュの銀行の幹部の方より)
 あなたの会社は、その規模にかかわらず、世界中のどの会社にとっても真のお手本となるものです。あなたの経営哲学は、今まで私の人生で見た中でも最高のものの一つです。私はあなたの経営哲学を自分の会社だけでなく、わが国にも広めなければなりません。「改善提案」による業務の改善は、各分野で頂点をめざす全ての組織の模範になります。
 改めて、私たちは、あなたと社員の皆様に感謝の意を表します。あらゆる点でタニサケが繁栄し、幸せで成功することを願います。


(フレッシュタニサケ2019年5月号より抜粋)

「偉大なる小河二郎さん」

 平成30年11月27日、島根県益田市にある自動車教習所、(株)コガワ計画(Mランド)の創業者の小河二郎さんがお亡くなりになりました。私が尊敬する小河さんは、卓越した「経営方針」と、類(たぐ)い希(まれ)な「経営哲学」を持った人物で、全国から人が集まる日本有数の自動車教習所を創り上げるとともに、免許取得のため入校した茶髪でピアスの現代っ子を、礼儀正しくボランティア精神に富んだ若者に変えました。小河さんは、社員に対する教育の考え方も独特で徹底したものがありました。そのいくつかを紹介します。

いいかげんに仕事をしなさい
 「いいかげん」とは適当に仕事をしなさいということではなく、「良い加減」にしなさいという「中庸(ちゅうよう)」のことである。極端にやりすぎても、手を抜きすぎても良い仕事はできない。「良い加減」にするということを意識したときに、初めてお客様に満足いただける仕事ができるのである。

素直さこそが万事の元
 善悪の違いを身に付けるには「素直さ」しかない。何の疑いもなく、純粋に相手の言葉を聞き、受け入れる。それができたときに、初めて思いやりの心が生まれる。その心こそが素直さであり、総(すべ)ての元である。

美しくなりたく候
 美しくなりたく候(そうろう)は、早稲田大学の會津八一(あいづやいち)教授の言葉ですが、小河さんはこの言葉を愛し、社員に教えられました。
 私は「美しくなるとは、内面が成長するということである。成長するには成長したいという思いを持つことが大事である。そうなるために日夜研鑽(けんさん)を積み、そして先祖を敬(うやま)い、自らのいのちを愛することである」と学びました。

 小河さんの教えには「いのち」というキーワードがたくさん出てきます。小河さんは、自らの戦争体験を通して、国を守り、国を進化させる若者にいのちの大切さを訴(うった)え、そのいのちこそが「国の宝」であると教えられました。また、運転免許を取得しようとする若者をお客様として迎えたとき、大切ないのちを預かる側の真剣さを指導員に厳しく教え、生涯、若者の成長を願い続けた人生でした。享年(きょうねん)96歳。小河さんがよく言われた「ありがとうと言ってくれて、ありがとう」の言葉が、今も耳元で聞こえるようです。


(フレッシュタニサケ2019年4月号より抜粋)